役員報酬の手取り額を変えずに社会保険料を節減することは可能か?

昨今では、少子高齢化社会の影響を受けて、年金や医療費などが膨んでいることから社会保険料が上昇する可能性は大きいと思います。社会保険料の個人・会社負担が上昇することにより会社の資金繰りに影響を及ぼす可能性は大きくなります。社会保険料は、法人税や所得税と違い業績に関係なく負担しなければなりません。


社会保険料の節減業績の悪化や資金繰りが厳しい時に真っ先に考えるのが役員報酬の減額であるかと思います。しかし、減額してしまうと個人の生活にも影響を及ぼしかねません。

そこで考えついたのが・・・

役員報酬を変えずに社会保険料の負担を減らすスキームです。

これには、法人税法(法34①二)で規定している「事前確定届出給与の損金算入」を利用します。

この届出を提出することにより、ボーナスを支給することができるようになります。エビデンスとしては、「あらかじめ確定している金額を所定の時期に支給する場合には、その支給額も損金に算入されます。したがって、年棒制の役員給与のうち一部をボーナスとして年2回あるいは四半期ごとに支払う場合、あるいは、非常勤役員に対する報酬を月以下の単位でなく年棒等で一括して支払う場合など、定期・同額の要件を満たさないときも損金算入が可能です。(基通9-2-12)」と規定しております。

例えば・・・月々100万円の役員報酬を計上すると、

年間で1,200万になります。

社会保険料は税金とは異なり、年間報酬で社会保険料が決まるのではなく、標準報酬月額で計算されます。

月100万円ですと、100万円に対する社会保険料を負担しなければなりませんが、「事前確定届出給与の損金算入」の規定を利用すれば、次に述べるような社会保険料節減スキームが使えます。

極論ですが、月々の役員報酬を10万円に決定し、年一回、賞与を1,080万円支給するとします。合計年間報酬額は変わらす1,200万円ですね。

社会保険料は、月10万円の標準報酬月額で算定されるので大幅に節減することができます。賞与に対する社会保険料は、全国の年金事務所には疑義照会という仕組みがあります。確認すると、『事前確定届出給与における一時金は標準賞与で処理するように』との回答があり、上限額が決まっているので賞与に対しても節減が期待できることになります。しかしながら、所得税の計算は、社会保険料の控除後で計算するため、社会保険料が減額することにより、所得税額は増加しますが増減額を計算すると、後者の節減スキームを使ったほうが有利になります。

その他、以下に述べるメリットがあります。

経費節減効果やステイクホルダーに対する信頼の向上効果が期待できます。また、年金を受給している場合には、支給停止されている年金を受け取ることが出来る可能性があります。毎月の役員報酬が高額な為、「在職老齢年金」の計算方法により老齢厚生年金が全額支給停止になってしまう事があります。以上、述べたことは合法ではあると思いますが、信義誠実の原則に反するのではないだろうか。

詳しくは、専門家にご相談ください。

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